レビー小体型認知症スマイルニュースhttps://dlbsn.orgレビー小体型認知症に関する情報を発信しています。Sun, 22 Jun 2025 15:59:47 +0000jahourly1https://dlbsn.org/wp-content/uploads/cropped-logo_dlbsn-32x32.pngレビー小体型認知症スマイルニュースhttps://dlbsn.org3232 連載:医学における小阪憲司先生の功績とレビー小体型認知症の発見の歴史9https://dlbsn.org/dlb-history/no9.htmlSun, 22 Jun 2025 15:20:26 +0000https://dlbsn.org/?p=4044

 レビー小体型認知症(DLB)を発見したのは、小阪憲司先生(2023年3月16日ご逝去)です。この連載コラムでは、小阪憲司先生の業績を中心に、DLB診療の進歩について、医療・医学に詳しくない方でも理解しやすいように努めて ... ]]>

 レビー小体型認知症(DLB)を発見したのは、小阪憲司先生(2023年3月16日ご逝去)です。この連載コラムでは、小阪憲司先生の業績を中心に、DLB診療の進歩について、医療・医学に詳しくない方でも理解しやすいように努めて記述していきたいと思います。(文責:鵜飼克行、総合上飯田第一病院・老年精神科・部長)

連載:第9回

パーキンソン病と認知症の関連についての論争(その1)

 レボドパ(L-dopa)の臨床応用が始まったのとほぼ同じ頃の1961年、米国マサチューセッツ州のボストンに留学していた岡崎春雄(敬称略)が、大脳皮質に多くのレビー小体(に類似した構造物)がある認知症の2症例を報告しました。岡崎先生は論文中で、「レビー小体(類似構造物)」を「Intracytoplasmic ganglionic inclusions(Lewy type)」と記しています。

 おそらく、岡崎先生ご自身は「これはレビー小体だろう」と、個人的には考えていたに違いないと思いますが、残念ながら、それを証明していません。そのためでしょうか、この論文はあまり注目を集めなかったようです。

 また、1975年に池田研二先生らも大脳皮質に多くのレビー小体を認めたパーキンソン病(PD)の症例を経験しましたが、論文として正式に発表されたのは、小阪先生の症例報告論文の発刊の後でした。

鵜飼先生
鵜飼先生

池田研二先生は、小阪先生と親しい先生です。レビー小体型認知症研究会が発刊した小阪憲司先生追悼記念誌にも御寄稿をいただきました

 そして、1976年、小阪憲司先生は、大脳皮質に多くのレビー小体を認める認知症の症例(第一症例)を英文で報告しました[1]。

小阪先生と池田研二先生の共著(筆者所有)[2]

2006年に小阪先生が主宰した「第4回レビー小体型認知症(DLB)国際ワークショップ in Yokohama」の後に、小阪先生は我が国の医師・医療・福祉関係者らからなる「レビー小体型認知症研究会(DLB研究会)」を創設して、2007年から毎年11月に横浜で学術総会を開催されるようになりました。

レビー小体型認知症研究会:日本で発見された認知症とは(他サイト)

レビー小体型認知症研究会は、DLBに興味を持つ日本全国の少数精鋭の臨床医・研究者(精神科医・脳神経内科医・神経病理研究者等)が集まって、活発な議論を重ねる研究会となっています。

連載第9回はここまでとします。第10回で、またお会いしましょう。

[1] Kosaka K, Oyanagi S, Matsushita M, and Hori A. (1976). “Presenile dementia with Alzheimer-, Pick- and Lewy-body changes”.Acta Neuropathol36: 221-233.PMID 188300

[2] 小阪憲司・池田研二 (1984). ウェルニッケ・コルサコフ脳症 (神経精神疾患モノグラフシリーズ) 、星和書店 .218ページ

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連載 レビー小体型認知症を識る 4https://dlbsn.org/column/what-dlb/no4.htmlSun, 15 Jun 2025 11:51:46 +0000https://dlbsn.org/?p=4013

 レビー小体型認知症の知識は専門家だけのものではありません。世間の人にも知ってほしい。これだけは知ってほしい1・2・3からはじめて、難しい専門のことまで説明していく予定です。(文責:眞鍋雄太、神奈川歯科大学臨床先端医学系 ... ]]>

 レビー小体型認知症の知識は専門家だけのものではありません。世間の人にも知ってほしい。これだけは知ってほしい1・2・3からはじめて、難しい専門のことまで説明していく予定です。(文責:眞鍋雄太、神奈川歯科大学臨床先端医学系認知症医科学分野 認知症・高齢者総合内科 教授)

第4回
— 改めて「認知症」を識る―「もの忘れ」の多様性 —

管理人アキノリ
管理人アキノリ

第3回までで認知症は病態名であることを教えていただきました。

眞鍋先生
眞鍋先生

はい。「もの忘れ」ですが、認知機能障害の構成要素ではあっても、「認知症」を規定する因子ではありません。

管理人アキノリ
管理人アキノリ

「認知症」を規定する因子ではないのですか?

眞鍋先生
眞鍋先生

つまり「もの忘れ」があっても問題なく社会生活を送っている方は大勢いらっしゃいますし、「もの忘れ」が「認知症」の規定因子ということであれば、ほとんどの高齢者が「認知症」患者ということになってしまいます。

管理人アキノリ
管理人アキノリ

なるほど。高齢者=「認知症」患者でないことは、もちろん理解できます。

眞鍋先生
眞鍋先生

第3回でも少し触れましたが、原因となる疾患ごとに脳の主たる障害部位は異なり、「認知症」の症状にも違いが見られます。

管理人アキノリ
管理人アキノリ

アルツハイマー病は、側頭葉の内側にある海馬・海馬傍回が主要な病変部位という前回の内容ですね!

眞鍋先生
眞鍋先生

そうです。当然のことながら、社会生活おける支障の内容(病像)も全く異なるわけです。

管理人アキノリ
管理人アキノリ

病変部位が違う。脳は部位ごとに異なる機能を担っているとは中学の理科でも習いました。だからこそ社会生活おける支障の内容も疾患によって変わるわけですね! なんだか理解できた気がします。

眞鍋先生
眞鍋先生

例えば前頭側頭葉変性症という疾患群に含まれる行動障害型前頭側頭型認知症(旧称ピック病)の場合、前頭葉および側頭葉が障害されることで自分の置かれた状況を理解出来ない、社会通念と自分がとる行動との整合性が判断出来ないといった症状を生じます。

管理人アキノリ
管理人アキノリ

万引きで逮捕された有名人が実は「ピック病」だったという話題は記憶に新しいです。ピック病は旧称なんですね、知りませんでした。

眞鍋先生
眞鍋先生

「もの忘れ」は目立ちません。行動障害型前頭側頭型認知症の患者さんは、場にそぐわない行動や反社会的行動を取ることで社会生活に支障を来す「認知症」ということになります。

第4回はここまでです。次回はいよいよ、レビー小体病の登場です。

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連載:医学における小阪憲司先生の功績とレビー小体型認知症の発見の歴史8https://dlbsn.org/dlb-history/no8.htmlSat, 14 Jun 2025 12:46:51 +0000https://dlbsn.org/?p=3990

 レビー小体型認知症(DLB)を発見したのは、小阪憲司先生(2023年3月16日ご逝去)です。この連載コラムでは、小阪憲司先生の業績を中心に、DLB診療の進歩について、医療・医学に詳しくない方でも理解しやすいように努めて ... ]]>

 レビー小体型認知症(DLB)を発見したのは、小阪憲司先生(2023年3月16日ご逝去)です。この連載コラムでは、小阪憲司先生の業績を中心に、DLB診療の進歩について、医療・医学に詳しくない方でも理解しやすいように努めて記述していきたいと思います。(文責:鵜飼克行、総合上飯田第一病院・老年精神科・部長)

連載:第8回

レビー小体とパーキンソン病の関係(その4)

 1960年頃、神経薬理学の分野では、ドーパミンは単なるノルアドレナリンやアドレナリンの前駆物質ではなく神経伝達物質の一つであること、尾状核・被殻(両方合わせて「線条体」と呼びます。大脳基底核を構成する主要な神経核です)でのドーパミン濃度が高いこと、パーキンソン病(PD)患者では線条体(尾状核・被殻)でのドーパミン濃度が著しく低下していること、などの発見が相次ぎました。

鵜飼先生
鵜飼先生

中脳にある黒質の神経細胞は、ドーパミンを神経伝達物質として、線条体(尾状核や被殻)の神経細胞に連絡しています。

鵜飼先生
鵜飼先生

PDでは黒質の神経細胞が死滅・減少するため、黒質と連絡する尾状核や被殻でのドーパミンの濃度も減少します。

鵜飼先生
鵜飼先生

これにより、
パーキンソニズム
(パーキンソン症状)
が引き起こされると言われています。

図:黒質―線条体ドーパミン神経系の脳内分布[1]
鵜飼先生
鵜飼先生

【小ネタ】生体内では、L-ドパ(「レボドパ」とも言います)>>>ドーパミン>>>ノルアドレナリン>>>アドレナリンの順で合成されます。

鵜飼先生
鵜飼先生

【小ネタ】米国や日本の医療現場では、現在でもアドレナリンを「エピネフリン」と呼ぶことも多いのですが、欧州や日本での正式名称は「アドレナリン」です(生物学の分野でも、アドレナリンの呼称が一般的だそうです)。

鵜飼先生
鵜飼先生

【小ネタ】1900年に、高峰譲吉・上中啓三の二人が、アドレナリンの発見・抽出・結晶化に成功しました。これは、人類史上初のホルモンの抽出・結晶化でした。

 これらの発見により、PD患者の脳幹のレビー小体の詳しい分布、中脳黒質と大脳基底核との関連などが明らかとなり、レボドパの臨床応用も始まりました。その有効性は驚愕に値するものでした。パーキンソンによる最初のPD症例の報告から1世紀半後のことでした。

載第8回はここまでとします。第9回で、またお会いしましょう。

[1]科学技術振興機構報 第434号. “人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について(答申)”. 科学技術振興機構. 2007‑10‑22. https://www.jst.go.jp/pr/info/info434/index.html, (accessed 2025‑06‑14).

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報告:愛知の活動-講演について解説1https://dlbsn.org/group/aichi/report/report20250523_1.htmlMon, 09 Jun 2025 17:30:39 +0000https://dlbsn.org/?p=3952

 2025年5月23日金曜日、社会医療法人愛生会本部会議室においてDLBSN愛知エリアの交流会が開かれました。故小阪憲司先生(横浜市立大学名誉教授)が発見し・確立した「レビー小体型認知症(Dementia with Le ... ]]>

 2025年5月23日金曜日、社会医療法人愛生会本部会議室においてDLBSN愛知エリアの交流会が開かれました。故小阪憲司先生(横浜市立大学名誉教授)が発見し・確立した「レビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies: DLB)」に関する基礎知識を、筆者が講演した時に用いたスライドに沿って解説します。全部で10回ぐらいの連載になるかと思います。

(文責:鵜飼克行、レビー小体型認知症サポートネットワーク愛知〔DLBSN愛知〕顧問医、総合上飯田第一病院・老年精神科・部長)

報告:第1回

スライドの全ページを見る(2025年5月23日 愛知・交流会報告)

ー1枚目解説ー

鵜飼先生
鵜飼先生

説明は不要ですね

ー2枚目解説ー

鵜飼先生
鵜飼先生

説明は不要ですね

ー3枚目解説ー

「レビー小体型認知症サポートネットワーク愛知(DLBSN愛知)」の(武漢コロナ感染症・パンデミック前の)交流会の風景です。

鵜飼先生
鵜飼先生

ワイワイやりました

 パンデミック前(2019年まで)は、主に当院(総合上飯田第一病院:名古屋市北区にある病床数236床〔精神科病床なし〕・6病棟制の中規模の総合病院)の入院病棟館(南館)の最上階の大会議室(ホール)で行っていました。しかし、当院は未だクラスター発生を警戒しており、南館への入館制限を実施継続中のため、入院関係者以外の一般の方の入館ができません。このため、今回、5年ぶりに、当法人(社会医療法人愛生会)の本部ビル(当院から徒歩1分)の会議室(南館ホールの5分の一ぐらいの広さ)にて、20名様限定で行いました。

次回のDLBSN愛知の交流会は、同じ場所で、2025年11月14日に開催します。ぜひご参加ください。

 なお、コロナのために、当科の認知症診療が、どのような影響を受けたのかについて、詳しく報告していますので、ご興味のある方は、下記論文1)を参照ください。

 「日本認知症予防学会ホームページ(他サイトへ)」から「会員ページ」をクリック(会員でなくても大丈夫です)、「学会誌」をクリック、「VOL10, No2, 2020年」のところにあります。学会誌のページ(他サイト)

1)鵜飼克行.(2020)新型コロナウイルス感染症のパンデミックは認知症診療をどう変えたか?-総合上飯田第一病院・老年精神科での経験-.日本認知症予防学会雑誌,10,28-32.

ー4枚目解説ー

鵜飼先生
鵜飼先生

生前の小阪憲司先生からお借りした「認知症の原因別の割合」を示したグラフです。

 私は有難いことに、小阪先生(故人)から「僕の講演スライドは、鵜飼君も講演で使っていいよ」とのお許しを得ています。

 アルツハイマー型認知症が最も多く、全体の50~60%を占めますが、次に多いのがレビー小体型認知症で、全体の15~20%を占めます(血管性認知症も15~20%です)。

鵜飼先生
鵜飼先生

したがって、レビー小体型認知症は「第2の認知症」とも呼ばれています。

鵜飼先生
鵜飼先生

今後は、レビー小体型認知症の割合は増加し、逆に血管性認知症は減る傾向になるだろうと思われます。最近は、脳血管性認知症ではなく、血管性認知症と呼ぶことが多いです。

 

第1回はここまでとします。また、来週、お会いしましょう。

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連載:医学における小阪憲司先生の功績とレビー小体型認知症の発見の歴史7https://dlbsn.org/dlb-history/no7.htmlMon, 02 Jun 2025 17:09:52 +0000https://dlbsn.org/?p=3933

 レビー小体型認知症(DLB)を発見したのは、小阪憲司先生(2023年3月16日ご逝去)です。この連載コラムでは、小阪憲司先生の業績を中心に、DLB診療の進歩について、医療・医学に詳しくない方でも理解しやすいように努めて ... ]]>

 レビー小体型認知症(DLB)を発見したのは、小阪憲司先生(2023年3月16日ご逝去)です。この連載コラムでは、小阪憲司先生の業績を中心に、DLB診療の進歩について、医療・医学に詳しくない方でも理解しやすいように努めて記述していきたいと思います。(文責:鵜飼克行、総合上飯田第一病院・老年精神科・部長)

連載:第7回

レビー小体とパーキンソン病の関係(その3)

 1915年頃から1920年代にかけて、原因不明の脳炎が世界中で流行しました。この脳炎の最初の論文は、1917年のコンスタンチン・フォン・エコノモによる「Die Encephalitis lethargica:〔嗜眠性脳炎〕の意味です」で、このため「エコノモ脳炎」とも呼ばれました。

 このエコノモ脳炎の後遺症として、パーキンソニズム(パーキンソン病〔PD〕と類似する症状群のことです)が生じました。このパーキンソニズムは、脳炎の後遺症によるパーキンソニズムであり、PDのパーキンソニズムと似てはいますが、別の病態(病理学的な状態や機序)です。

 1953年に、PD患者では、黒質にレビー小体が必発し、パーキンソニズムと大きな関連があることが分かりました。

 1960年には、PD(「idiopathic paralysis agitans:特発性振戦麻痺」とも記載)患者には,脳幹の諸核と自律神経系にもレビー小体が多く分布することが明らかになりました。この「idiopathic paralysis agitans(=PD)」の「idiopathic(特発性)」とは,「エコノモ脳炎後のパーキンソニズムではない」の意味です。

 エコノモ脳炎(および後遺症)の原因は、現在でも不明ですが、おそらく何らかのウイルス性感染症(からの自己免疫性疾患)だったと推測されています。

 エコノモ脳炎の病変は、中脳だけでなく大脳基底核・視床下部にまで広く及んだため,パーキンソニズムや睡眠調節障害を惹起したと思われます。しかし、PDのように、レビー小体は認められませんでした。

鵜飼先生
鵜飼先生

 小阪先生は実際の臨床で,エコノモ脳炎後パーキンソニズムの患者を診たことがあったそうです。1980年頃までは,我が国にも存命の患者さんがみえたようですね。

左側から見た脳(中枢神経系)の絵図
左側から見た脳(中枢神経系)の絵図[1]

脳幹が大脳に突き刺さっている(連絡している)感じのイメージでOKです。

脳幹は、上方から、間脳・中脳・橋・延髄に分類されており、延髄の下方に脊髄が続いて伸びています(この絵図では切れています)。

小脳は、脳幹の側面後方に引っ付いている(連絡している)イメージでOKでしょう。

大脳と小脳は、直接には引っ付いていません(接していますが)。

黒質は、脳幹の中脳のなかにある神経核(神経細胞が密集している部位)の一つです。

大脳・小脳・脳幹・脊髄を、まとめて「中枢神経(系)」と呼んでいます。

連載第7回はここまでとします。第8回で、またお会いしましょう。

[1]側面から見たヒトの脳の構造(『グレイの解剖学』から引用)Commons:ライセンシングに準拠して掲載しています。Wikipedia[Brain diagram ja.svg]

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2025年5月愛知交流会の報告https://dlbsn.org/area/aichi/report_aichi_202505.htmlSat, 31 May 2025 09:38:45 +0000https://dlbsn.org/?p=3889愛知のページへ戻る

2025年5月23日鵜飼先生講演スライドPDF(25ページ 2.0Mb)

当スライドの解説を連載で掲載しています。>>>こちら(当サイト内)

↓スライド下方でページを変えられます。表示されない場合は上のダウンロード用PDFをご覧ください。スライドの著作権は鵜飼先生にございます。承諾なしの引用、配布等はひかえてください。
report_aichi_202505

DLBSN愛知のページへ戻る

当スライドの解説を連載で掲載しています。>>>こちら(当サイト内)

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2025年6月29日東京交流会~開催のお知らせhttps://dlbsn.org/group/tokyo/event20250629.htmlThu, 29 May 2025 23:24:43 +0000https://dlbsn.org/?p=3834東京のページへ戻る

2024年6月29日東京交流会パンフレット-ダウンロード用PDF(A4・2ページ 0.9Mb)

↓2ページのパンフレットが表示されない、印刷する場合は上のダウンロード用PDFをお使いください。日時はメールにてお問い合わせください(詳細はパンフレットに記載)。
event_tokyo_20250629

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連載 レビー小体型認知症を識る 3https://dlbsn.org/column/what-dlb/no3.htmlSun, 25 May 2025 02:08:39 +0000https://dlbsn.org/?p=3755

 レビー小体型認知症の知識は専門家だけのものではありません。世間の人にも知ってほしい。これだけは知ってほしい1・2・3からはじめて、難しい専門のことまで説明していく予定です。(文責:眞鍋雄太、神奈川歯科大学臨床先端医学系 ... ]]>

 レビー小体型認知症の知識は専門家だけのものではありません。世間の人にも知ってほしい。これだけは知ってほしい1・2・3からはじめて、難しい専門のことまで説明していく予定です。(文責:眞鍋雄太、神奈川歯科大学臨床先端医学系認知症医科学分野 認知症・高齢者総合内科 教授)

第3回
— 改めて「認知症」を識る―「もの忘れ」の多様性 —

管理人アキノリ
管理人アキノリ

もう3回目ですね。今回はスマートニュース初の対話形式でお話をうかがおうと思います。

眞鍋先生
眞鍋先生

よろしくお願いします。

管理人アキノリ
管理人アキノリ

認知症と物忘れは違うのですか?

眞鍋先生
眞鍋先生

認知症」と聞くと、「もの忘れ」と認識している方が多いようで、「認知症」=「アルツハイマー型認知症」と理解している方も、また同様です。

管理人アキノリ
管理人アキノリ

ちゃんと分けて理解したほうがよいということでしょうか?

眞鍋先生
眞鍋先生

そうなんです。

眞鍋先生
眞鍋先生

この「もの忘れ」、本来の意味は記憶(課題を覚える、覚えた内容を保存しておく、保存した課題を引き出してくる)の障害ということになろうかと思います。

なるほど。

眞鍋先生
眞鍋先生

ですが、覚醒度の低下(ぼうっとしている状態)により課題を意識の中で認識できない場合や注意が低下していて課題を認識できない場合なども、周囲からは「もの忘れ」と認識されてしまいます。

眞鍋先生
眞鍋先生

そもそも課題を認識していないわけで、思い出すもへったくれもないのですが。

管理人アキノリ
管理人アキノリ

たしかに言われてみると、まとめて「もの忘れ」と言っていますね。指摘されるまで気づきませんでした。

眞鍋先生
眞鍋先生

狭義の意味での「もの忘れ」、すなわち記憶の問題が主体となって認知症の病態を呈する疾患がアルツハイマー病。側頭葉の内側にある海馬・海馬傍回が主要な病変部位(神経細胞群が壊されている部分)となります。

自作の海馬図解を掲載しょうと思いましたが、ここは専門サイトをご紹介したほうが良いとのサイト運営委員会から指摘をうけました。興味ある方は以下を参照になってください。(管理人追記)

他サイトへのリンク
ALS看護・病理データベース様脳神経解剖の基本を見る

眞鍋先生
眞鍋先生

一方、覚醒度の低下や注意の低下といった前頭葉機能の障害で、「もの忘れ」様にみえるのがレビー小体病であり、主たる病変部位は脳幹に端を発した覚醒系神経回路となります。

第3回はココまでにします。第4回は原因疾患の違いによる「認知症」の多様性についてです。

お楽しみに!

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連載:医学における小阪憲司先生の功績とレビー小体型認知症の発見の歴史6https://dlbsn.org/dlb-history/no6.htmlFri, 23 May 2025 08:39:58 +0000https://dlbsn.org/?p=3741

 レビー小体型認知症(DLB)を発見したのは、小阪憲司先生(2023年3月16日ご逝去)です。この連載コラムでは、小阪憲司先生の業績を中心に、DLB診療の進歩について、医療・医学に詳しくない方でも理解しやすいように努めて ... ]]>

 レビー小体型認知症(DLB)を発見したのは、小阪憲司先生(2023年3月16日ご逝去)です。この連載コラムでは、小阪憲司先生の業績を中心に、DLB診療の進歩について、医療・医学に詳しくない方でも理解しやすいように努めて記述していきたいと思います。(文責:鵜飼克行、総合上飯田第一病院・老年精神科・部長)

連載:第6回

レビー小体とパーキンソン病の関係(その2)

 有名なアロイス・アルツハイマーが、「アルツハイマー病」の最初の症例を発表したのは1906年です。

 そのアルツハイマーの師であるエミール・クレペリンが、「Alzheimersche Krankheit:ドイツ語で〔アルツハイマー病〕の意味」と命名したのは1910年で、この頃のレビーとアルツハイマーはクレペリン門下での同僚でした。

図1:アルツハイマーとレビーの師匠:エミール・クレペリン[1]

有名な「内田クレペリン検査」の、あのクレペリンです。

写真は筆者が所有している書籍から紹介。

 「ピック小体:ピック嗜銀球とも呼ばれます」を発見したのもアルツハイマーで、1911年のことです。

 満州医科大学の教授であった大成 潔が「Picksche Krankheit:ドイツ語で〔ピック病〕の意味」の概念を提出したのは1923年です。

図2:大成潔の写真[2]と「ピック病」概念を発表した論文[3]

筆者所有の論文の1ページ目を紹介

 大成潔は、東京帝国大学を卒業後、しばらくして、満州医科大学の教授に就任しました(満州とは、現在の中華人民共和国の東北部に位置する地域のことで、日露戦争での大日本帝国の勝利の後に、大日本帝国の強い影響下に入りました。その後、満州国として独立が宣言されましたが、大東亜戦争の終結により、滅亡しました)。大成は教授のままドイツに留学して、この論文を執筆・発表しました。帰国後も、満州医科大学の教授を務めています。

 パーキンソン病(PD)患者にレビー小体が発見されて、その約35年後の1953年,PD患者には黒質でのレビー小体の発現が必発であり、パーキンソニズムと大きな関連があることも分かりました。

 また,1960年に, PD(「idiopathic paralysis agitans:特発性振戦麻痺」とも記載されています)患者には,脳幹諸核と自律神経系にレビー小体が多く分布することが明らかになりました。

連載第6回はここまでとします。第7回で、またお会いしましょう。

[1] Emil Kraepelin: PSYCHIATRIE- Ein Lehrbuch fur Studirende und Aerzte-. Sechste auflage, 1899.

[2] 松下正明:大成潔.精神医学を築いた人びと下巻、松下正明編、ワールドプランニング、東京、1991.

[3] Onari K, Spatz H: Anatomische Beitrage zur Lehre von Pickschen umschriebenen Groβhirnrinden Atrophie(Picksche Krankheit). Z Ges Neurol Psychiatr 1926; 101:470―511

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連載 レビー小体型認知症を識る 2https://dlbsn.org/column/what-dlb/no2.htmlSat, 17 May 2025 12:18:24 +0000https://dlbsn.org/?p=3709

 レビー小体型認知症の知識は専門家だけのものではありません。世間の人にも知ってほしい。これだけは知ってほしい1・2・3からはじめて、難しい専門のことまで説明していく予定です。(文責:眞鍋雄太、神奈川歯科大学臨床先端医学系 ... ]]>

 レビー小体型認知症の知識は専門家だけのものではありません。世間の人にも知ってほしい。これだけは知ってほしい1・2・3からはじめて、難しい専門のことまで説明していく予定です。(文責:眞鍋雄太、神奈川歯科大学臨床先端医学系認知症医科学分野 認知症・高齢者総合内科 教授)

第2回
— 改めて「認知症」を識る―原因疾患と認知症の関係 —

 病態を表す「認知症」。原因となる疾患により脳の認知機能の発動が障害され、社会生活に支障を来した状態、と定義されます。

 多くの疾患が「認知症」の原因となるわけですが、レビー小体病が原因となり社会生活に支障を生じ、日常生活を営む上で介助を要する状態になった場合を、レビー小体型認知症(同じレビー小体病でも、手足が振るえる、動きが遅くなる、筋肉の動きが強張るといったパーキンソン症状が先行した場合を特にパーキンソン病と呼称します。パーキンソン病が原因で認知症を呈した場合は、レビー小体型認知症ではなく、認知症を伴うパーキンソン病と呼びます)。

 

  アルツハイマー病が原因で同様の状態になった場合、アルツハイマー病による認知症、すなわちアルツハイマー型認知症と呼称するわけです。〇型認知症の〇の部分に原因疾患名が入ると理解して頂ければ良いかと思います。

第2回の連載はここまでとします。不定期となりますが第3回も掲載予定です。

正しい知識を身につけて過度の恐れを持たないようにしましょう(管理人)

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