報告:愛知の活動-講演について解説2

 2025年5月23日金曜日、社会医療法人愛生会本部会議室においてDLBSN愛知エリアの交流会が開かれました。故小阪憲司先生(横浜市立大学名誉教授)が発見し・確立した「レビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies: DLB)」に関する基礎知識を、筆者が講演した時に用いたスライドに沿って解説します。全部で10回ぐらいの連載になるかと思います。

(文責:鵜飼克行、レビー小体型認知症サポートネットワーク愛知〔DLBSN愛知〕顧問医、総合上飯田第一病院・老年精神科・部長)

報告:第2回

スライドの全ページを見る(2025年5月23日 愛知・交流会報告)

鵜飼先生
鵜飼先生

前回は4枚目までを解説しました。5枚目から解説します。

5枚目解説

 仮説の段階ではありますが、このスライドの説明の通り、αシヌクレインという物質(たんぱく質の一種)の異常沈着が、レビー小体型認知症(DLB)の原因であります。

 このαシヌクレインという物質(たんぱく質の一種)の異常沈着が、DLBに伴ういろいろな臨床症状、例えば、認知機能低下パーキンソニズム(パーキンソン病と似た症状のこと)・自律神経障害(立ち眩み・失神・便秘・頻尿など)・精神症状(意欲低下・幻覚など)・その他の症状(レム睡眠行動障害・嗅覚障害・疼痛など)を引き起こすと思われます。

 なぜ、神経細胞にαシヌクレインの異常沈着が惹起されることがあるのか、その原因は分かっていません。つまり、DLBの根本の原因は不明です。ただし、遺伝性の原因ではないことは確かです。「親がDLBになったから、自分もいつかDLBになるのでは?」と心配する必要はありません

鵜飼先生
鵜飼先生

 DLBに伴ういろいろな臨床症状については、あとのスライドの時に詳しく説明します。

6枚目解説

鵜飼先生
鵜飼先生

わが師、

小阪憲司先生

です。

 私が小阪先生に初めてお会いしたのが四半世紀前で、(勝手に?)弟子になったのが16年前ですので、70歳前後のお写真でしょうか、見た目が実年齢以上に、とても若々しい先生でした。

 小阪先生は、エレベーターやエスカレーターを使われず、階段で上り下りされる習慣でしたので、高いビルや東京の地下鉄などでのお供は大変でした。このため、私も普段から、階段で訓練をしていました。その訓練は今でも続けています。

 右側の英語論文[1]が、記念すべきDLBの第一症例の報告論文(1976年)です。小阪先生が筆頭著者で、共著者にも日本が誇るビッグネームが綺羅星の如く並んでいます。この論文から、小阪先生の不滅の偉業の行進が始まったわけです。

連載第2回はここまでとします。また、来週、お会いしましょう。

[1] Kosaka K, Oyanagi S, Matsushita M, and Hori A. (1976). “Presenile dementia with Alzheimer-, Pick- and Lewy-body changes”.Acta Neuropathol36: 221-233.PMID 188300