連載 レビー小体型認知症を識る 3

 レビー小体型認知症の知識は専門家だけのものではありません。世間の人にも知ってほしい。これだけは知ってほしい1・2・3からはじめて、難しい専門のことまで説明していく予定です。(文責:眞鍋雄太、神奈川歯科大学臨床先端医学系認知症医科学分野 認知症・高齢者総合内科 教授)

第3回
— 改めて「認知症」を識る―「もの忘れ」の多様性 —

管理人アキノリ
管理人アキノリ

もう3回目ですね。今回はスマートニュース初の対話形式でお話をうかがおうと思います。

眞鍋先生
眞鍋先生

よろしくお願いします。

管理人アキノリ
管理人アキノリ

認知症と物忘れは違うのですか?

眞鍋先生
眞鍋先生

認知症」と聞くと、「もの忘れ」と認識している方が多いようで、「認知症」=「アルツハイマー型認知症」と理解している方も、また同様です。

管理人アキノリ
管理人アキノリ

ちゃんと分けて理解したほうがよいということでしょうか?

眞鍋先生
眞鍋先生

そうなんです。

眞鍋先生
眞鍋先生

この「もの忘れ」、本来の意味は記憶(課題を覚える、覚えた内容を保存しておく、保存した課題を引き出してくる)の障害ということになろうかと思います。

なるほど。

眞鍋先生
眞鍋先生

ですが、覚醒度の低下(ぼうっとしている状態)により課題を意識の中で認識できない場合や注意が低下していて課題を認識できない場合なども、周囲からは「もの忘れ」と認識されてしまいます。

眞鍋先生
眞鍋先生

そもそも課題を認識していないわけで、思い出すもへったくれもないのですが。

管理人アキノリ
管理人アキノリ

たしかに言われてみると、まとめて「もの忘れ」と言っていますね。指摘されるまで気づきませんでした。

眞鍋先生
眞鍋先生

狭義の意味での「もの忘れ」、すなわち記憶の問題が主体となって認知症の病態を呈する疾患がアルツハイマー病。側頭葉の内側にある海馬・海馬傍回が主要な病変部位(神経細胞群が壊されている部分)となります。

自作の海馬図解を掲載しょうと思いましたが、ここは専門サイトをご紹介したほうが良いとのサイト運営委員会から指摘をうけました。興味ある方は以下を参照になってください。(管理人追記)

他サイトへのリンク
ALS看護・病理データベース様脳神経解剖の基本を見る

眞鍋先生
眞鍋先生

一方、覚醒度の低下や注意の低下といった前頭葉機能の障害で、「もの忘れ」様にみえるのがレビー小体病であり、主たる病変部位は脳幹に端を発した覚醒系神経回路となります。

第3回はココまでにします。第4回は原因疾患の違いによる「認知症」の多様性についてです。

お楽しみに!