レビー小体型認知症(DLB)を発見したのは、小阪憲司先生(2023年3月16日ご逝去)です。この連載コラムでは、小阪憲司先生の業績を中心に、DLB診療の進歩について、医療・医学に詳しくない方でも理解しやすいように努めて記述していきたいと思います。(文責:鵜飼克行、総合上飯田第一病院・老年精神科・部長)
連載:第14回
「レビー小体病」「びまん性レビー小体病」概念の提出(その3)
1990年、小阪先生は日本で報告された37剖検例をまとめて、論文「Diffuse Lewy body disease(DLBD:びまん性レビー小体病)in Japan」を発表しました。

(筆者所有の論文の最初のページをSCANしたもの)
この論文では、DLBDは二つの型に分類されました。すなわち、「通常型(28例)」と「純粋型(9例)」です。
「通常型」のDLBDは、いろいろな程度のアルツハイマー病(AD)の病理を合併したタイプであり、「純粋型」のDLBDとは、AD病理がほとんど認められないタイプです。 一般的に(我が国では)「純粋型」は「通常型」に比べると若年発症で、パーキンソニズムが目立つ(初発症状)傾向があります。
筆者は、小阪先生から直接に、「純粋型のDLBDは少なく、多くは通常型だよ。DLBDとADは『兄弟』疾患だと思っている」と教えられました。筆者が「AD病理にDLBD(レビー)病理が被ってくるのか、レビー病理にAD病理が被ってくるのか、どっちですか?」と聞いたときに、「どっちもあると思う」との答えでした。

「DLBD(びまん性レビー小体病)=DLB(レビー小体型認知症)」
と考えてOKです。

(筆者の息子が出張中に撮影、2024年)
1993年、ケルンで開催されたドイツ精神医学会150周年記念シンポジウムに招待された小阪先生は、「純粋型のDLBD」の日本人例と欧米人例の比較検討をした研究成果を講演しました。
小阪先生がケルンでのドイツ精神医学会150周年記念シンポジウムで講演をしてから30年以上が経っています。つまり、ドイツ精神医学会は180年以上の歴史を誇っているわけです。
ちなみに、日本精神神経学会(現在の我が国の精神医療・医学の基盤学会です。設立当時の名称は「日本神経学会」でした)の設立は123年前の1902年です。
面白いことに、欧米人の純粋型の発症年齢は、日本人とは異なり、若年発症ではなく(日本人の純粋型は平均39歳発症)、通常型(平均69歳発症)と変わりがありませんでした。
この原因は不明のままですが、近年では我が国でも純粋型の高齢化がみられるようです。
なお、この研究は、原稿化されたにもかかわらず、理由は知りませんが、残念ながら発刊(論文化)されませんでした。しかし、ドイツ語での講演抄録は残っています。小阪先生自身による「レビー小体病」のドイツ語訳は「Lewy-Korperchen Krankheit」です。
連載第13回はここまでとします。第15回で、またお会いしましょう。
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